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教員プロフィール


表現学部 総合文化学科/准教授

稲葉 有祐 イナバ ユウスケ

研究分野…日本近世文学・俳諧文学
最終学歴…立教大学文学研究科博士課程後期課程
学位…博士(文学)

和光3分大学

(最終更新日:2021-05-12)

【職歴】
2017年4月から2018年3月まで、早稲田大学教育・総合科学学術院 助教、 2018年4月から2020年3月まで、同講師(任期付)。


【教育活動】
・担当科目:「近世の文化と言語表現」(ゼミナール)・「日本の文化と文学」・「日本古語を学ぶ」・「日本文化の諸相」・「プロゼミ」・「連句作りを楽しむ」(共通教養科目)

総合文化学科では、主に日本近世文学の講義・演習科目を担当する。近世は印刷技術が発達し、全国的に書物の流通が活発化した時期であるため、当時の人々と書物とのあり方を体感・実感できるよう、和本の現物を手に取り、崩し字の読解を活用するなどといった実践的な教育を行う。また、韻文・散文ともにジャンルの林立する近世の文学では、常に共時的な視点を持つことが重要であるため、人々の交流圏・人的ネットワークを意識しながら作品群を捉え、作品の中から文化・生活についての知見をつかみ取れるよう工夫する。ゼミナールでは、近世期の基礎的な教養である俳諧の作品読解を軸として、適切な解釈・発展的な考察を導くための調査・研究の方法を示し、近世という時代・文学・表現の特質を理解できるよう指導する。そして、日本の上代・中古・中世、さらに中国の作品・文化を積極的に享受(時にパロディ)した近世の文学作品について、通史的な視点から位置付けられるようになることを目指す。講義においては、特にリアクションペーパーでのコメントを重視し、フィードバックを徹底しながら、学生の理解が深められるよう努める。



【研究活動】
笑いと情景描写、そして都市としての江戸に興味を持ち、都会派といわれる江戸俳諧、中でも宝井其角の活動・系譜を中心として研究を進めている。其角は芭蕉の一番弟子でありながら、「旅」に生きた師と異なり、江戸に定住し、都会に遊んだ俳人である。いわば江戸のシンボル的存在ながら、むしろそれがために近代的価値観から逸脱し、疎外(といって悪ければ敬遠)されてきた。
ただし、近世俳諧は、そもそもジャンルとしての「俳諧」自体、雅文芸である和歌・連歌に扱われなかった部分その全てを掬い取る、可能性に満ちた文芸であり、個人の創造に富む多様性こそが本質であったはずである。いわゆる蕉風とは異なり、言語遊戯的側面の強い江戸俳諧をいかに捉えていくか。新たな評価軸の設定を課題としている。

これまで、主として、芭蕉と其角とが編み出した発句と発句との〈唱和〉という方法の成立と展開、また、句の批点(批評と採点)に用いられた点印における機能と意義について、元禄期から幕末・明治までを視野に論じてきた。

現在は、江戸という都市の性格上、大名の文化圏や、遊廓・芝居町といった悪所の文化について調査している。悪所と俳諧の関係については、科学研究費(若手研究)「近世中期における悪所の俳諧-其角・江戸座を媒体とする基礎的研究-」の補助を受け、俳諧を通じて遊廓・芝居の文化を捉え直している。同時に、歌枕や地名の問題、漢文学や戯作との接点などにも関心を寄せている。



【学外活動】
俳文学会会員(2018年度から機関紙『連歌俳諧研究』編集委員)、日本近世文学会会員、早稲田大学国語教育学会(2021年度から機関紙『国文学研究』編集委員)。

・「江戸俳諧と役者―其角・江戸座の交流圏と『師の恩』への展開― 」(早稲田大学国文学会秋季大会 2020年12月)
・「〈異域〉としての遊廓―元禄・享保期の江戸俳諧を視座に― 」(説話文学会例会シンポジウム・「〈異域〉説話をめぐって」2019年9月)
・「興と俳諧-「句兄弟」の思想的背景と研究史上の問題をめぐって-」(俳文学会東京例会シンポジウム「芭蕉没後の二潮流再考-文学から思想へ、作品から行為へ-」2019年7月)
・「前句付・点取と批評」(早稲田大学国語教育学会例会2019年1月)
・「(講演)赤穂浪士と江戸の俳人たち」(俳文学会東京例会・江東区公開講座「忠臣蔵と俳諧・川柳」2018年6月)
・「(講演)角館と江戸座俳諧―其角追慕の系譜―」(没後三十五年柿衞忌、2017年6月)
・「其角の社交力」(江東区芭蕉記念館冬季文学講習会、2017年1月)
・「幽山『誹枕』の試み」(立教大学シンポジウム「環流/貫流する日本文学-十七世紀の文学圏-」2016年11月)
・「其角・子葉邂逅図」の背景」(俳文学会全国大会シンポジウム「江戸講談と江戸俳諧 -真説忠臣蔵前後-」2016年10月)



【著作・論文(及び作品)】
〈単著・書籍〉
・『宝井其角と都会派俳諧』(笠間書院、2018年2月)

〈単著・論文〉
・「幽山『誹枕』と時代」(『日本文学』第69巻10号、2020年10月)
・「〈異域〉としての遊廓-元禄・享保期の江戸俳諧を視座に-」(『説話文学研究』第55号、2020年9月)
・「江戸座俳諧と角館-佐竹北家、明和安永期の活動から-」(『日本文学研究ジャーナル』第8号、2018年12月)
・「闘鶏句合の構想」(『連歌俳諧研究』第129号、2015年9月)

〈共著・書籍〉
・佐藤勝明編『東風流―宝暦俳書の翻刻と研究―』(『東風流』の一系譜―安永天明期の佐竹北家と『そのふり』をめぐって―」・巻五翻刻・巻六所収「寒菊や」歌仙評釈・巻二所収「猪も」歌仙評釈、世音社、2021年3月)
・平林香織編『大名文化圏における〈知〉の饗宴』「江戸座俳諧と角館-佐竹北家、明和安永期の活動から-」(再録)、「【翻刻】佐竹北家俳諧資料」、「【目録】佐竹北家俳書」、世音社、2020年3月)・廣木一人・松本麻子編『連歌大観 第3巻』(『摘葉集』翻刻・解題、古典ライブラリー、2017年12月)
・廣木一人教授退職記念論集刊行委員会『日本詩歌への新視点』(「柿衞文庫蔵『歴翁廿四歌仙』翻刻と解題」風間書房、2017年3月)
・廣木一人・松本麻子編『連歌大観 第1巻』(『行助句集』翻刻・解題、古典ライブラリー、2016年7月)

〈共著・論文〉
・柴田光彦・伊藤善隆・稲葉有祐・金子俊之・駒田涼子・佐藤ミホ子・宍戸道子・高橋和日子・長田和也・二又淳・松山薫・柳澤和子・内藤寿子・松澤正樹「三村竹清日記「不秋草堂日暦(二十九)」 」(『演劇研究』第44号、2021年3月)
・佐藤勝明・玉城司・伊藤善隆・服部直子・越後敬子・稲葉有祐「『親うぐひす』「うぐひすや」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』第98号、2020年6月)
・稲葉有祐・久保彰恒・佐久間光瑞・劉欣佳「『代々蚕』「初午や」歌仙註解」(『近世文芸研究と評論』第98号、2020年6月)
・稲葉有祐・宝利彩夏・小林俊輝・戸口桃吾「北枝点「立秋や」歌仙註解」(『近世文芸研究と評論』第96号、2019年6月)
・佐藤勝明・玉城司・伊藤善隆・服部直子・越後敬子・稲葉有祐「『きくいたゞき』「他力あり」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』第96号、2019年6月)
・中嶋隆・稲葉有祐・荻原大地・木村有紀子・白鳥敬秀・冨永真由・長谷川美菜・晝田葵「(早稲田大学図書館所蔵 新出資料)『世渡りや』歌仙注解」(『近世文芸研究と評論』第95号、2018年11月)
・佐藤勝明・玉城司・伊藤善隆・服部直子・越後敬子・稲葉有祐「『四時観』「名月や」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』第94号、2018年6月)
・佐藤勝明・玉城司・伊藤善隆・服部直子・越後敬子・稲葉有祐「『五色墨』「うぐひすや」歌仙分析」(『近世文芸研究と評論』第91号、2016年11月)

〈その他〉
・「リモート・「座」の文芸」(『立教大学日文ニュース』第25号、2021年3月)
・「其角の記憶・追憶・江戸残照」(『好古趣味の歴史 江戸東京からたどる』文学通信、2020年6月)
・「筆跡・署名に注目した授業実践の試み-くずし字をより身近に感じるために-」(『和本リテラシーニューズ』第4号、2019年1月)
・『庭中花の歌発句』諸本対校』(錦仁代表「東北地方諸藩の和歌活動と国学者の和歌思想との関係を解明する新研究」研究成果報告書(その2))、2017年12月)
・「(学会時評)近世韻文・国学 開かれた地平へ-文芸と文化という側面から-」(『文学・語学』第220号、2017年9月)
・「ゆづり葉感心に存候―芭蕉と其角と京伝と―」(大高洋司・小島 道裕・大久保純一編『鍬形蕙斎画 近世職人尽絵詞 江戸の職人と風俗を読み解く』勉誠出版、2017年2月)



【外部研究資金の獲得】
「近世中期における悪所の俳諧-其角・江戸座を媒体とする基礎的研究-」日本学術振興会科学研究費補助金(若手研究)2018年4月 - 2021年3月
「宝井其角と都会派俳諧」日本学術振興会 研究成果公開促進費(学術図書) 2017年4月 - 2018年3月


【受賞歴】
2014年6月 公益財団法人柿衞文庫 第23回柿衞賞



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